クッキー製造に最適な機械とは?成型・カット・製造ラインの選び方と導入のポイント

2025/05/27

クッキー製造を効率化し、品質を安定させるためには、生地の成形から焼成、包装に至るまで各工程に適した専用機械の導入が不可欠です。

特に近年では、人手不足への対応や大量生産ニーズの高まりを背景に、製菓工場だけでなく中小規模の店舗でも機械化を進めるケースが増えています。

この記事では、クッキーの製造工程ごとに活用される主な機械の種類とその特徴を詳しく解説するとともに、導入によるメリットを紹介します。

これから機械導入を検討する方や既存設備の見直しをお考えの方はぜひ参考にしてください。

クッキーの製造工程に必要な機械とは?

クッキーを製造するには、生地作りから焼成・包装まで複数の工程があり、それぞれに適した専用機械が活躍します

手作業で始めたお菓子作りも、売上拡大に伴い機械導入で量産化・省人化を図るケースが多く見られます。

ここではクッキー生産ラインに欠かせない主な機械を工程順に紹介します。

1. 成型機(ドロップ・押出・ロータリー)

項目 内容
主な工程・方式 ・ドロップ式/押出式:ノズルから生地を絞り出す方式
・ロータリー式:ローラーの金型で生地を打ち抜く方式
特長 絞り出しクッキーやバタークッキーなど、多様な形状に対応
用途 均一な形状・サイズのクッキーを大量生産

成型機はクッキー生地を一定の形状・重量に成形する機械です。

ドロップ式や押出式の成型機では、生地をノズルから絞り出して天板上に落とし、絞り出しクッキーやバタークッキーなど様々な形状に対応できます。

ロータリー式成型機は、ローラー上の金型で生地を打ち抜いて成形する方式で、主に丸形や型押し模様付きのビスケットに適しています。

例えば押出成型機を用いれば、柔らかい生地でも安定して高速連続成形が可能で、小型機でも毎時1,200個程度のクッキー生地を成型できます。

成型機を使うことで手作業では難しい均一な形状・サイズのクッキーを効率良く大量生産できます。

2. カット機(カッター・スライサー)

項目 内容
主な工程・方式 ・ワイヤー式/ギロチン式:連続的に押し出される生地を一定の厚みで切断
・ロータリー式:ローラーの金型で生地を打ち抜く
特長 アイスボックスクッキーなど、円筒状の生地から均一な円形スライスを作成できる
用途 均一な形状・サイズへのカット

カット機は、成型された生地や棒状に押し出した生地を所定の大きさに切り分けるための機械です。

一般的なワイヤーカッターやギロチン式カッターでは、連続的に押し出される生地を一定の厚みで切断し、アイスボックスクッキーなど円筒状の生地から均一な円形スライスを作ります。

また、超音波カッターを搭載した機械だと刃先を高速振動させて切断するため、生地への抵抗が小さくなり、クッキー表面を潰さずに美しくカット可能です。そのためビスケット生地は断面が綺麗に仕上がり、手作業より形状が安定してボリュームも出ることが確認されています。

生地にナッツやチョコチップが混ざっていても刃に付着しにくくスムーズに切断できるのが超音波対応機のメリットです。

3. 生地処理・成形補助機(押出・伸ばし・冷却)

項目 内容
主な工程・方式 ・生地押出機(エクストルーダー):大量のクッキー生地を一定幅で押し出す
・生地伸ばし機(シーター):複数段のローラーで生地を薄く均一に延ばす
・冷却装置:成形後の生地を一時的に冷却
特長 成形・カット工程へ最適な状態に生地を調整できる
用途 焼き上げるまでの前準備を行う

生地押出機(エクストルーダー)は大量のクッキー生地を一定幅で押し出し、後工程でロータリー成型やカットをしやすい形状に供給します

生地伸ばし機(シーター)は複数段のローラーで生地を薄く均一に延ばす装置で、型抜きクッキーを作る際に生地を所定の厚みに伸展させます。

例えば三段ローラーで徐々に厚みを調整すれば、生地を傷めず安定した厚さに仕上げられます。また、生地の温度を調整・冷却する工程も場合によっては必要です。

成形後すぐに焼成しない場合は一時的に冷蔵帯で生地を冷やしておくことで、生地のだれを防ぎ切断しやすくする効果があります。

これら補助機器を組み合わせることで、生地を最適な状態に保ちながら後続の成形・カット工程へスムーズに繋げることができます。

4. オーブン・冷却・包装など後工程機器との連携

項目 内容
主な工程・方式 ・トンネルオーブン(バンドオーブン):成形されたクッキー生地を自動で焼成工程
・配列機:生地を一定間隔で天板に並べ、自動搬送
・冷却コンベヤー/自動包装機:焼き上がったクッキーを冷却し、個包装・袋詰め
特長 成形から焼成、包装までの一貫自動ラインを実現できる
用途 クッキーの成形・焼成・包装までの省力化と生産性向上

成形機から排出されたクッキー生地を直接トンネルオーブン(バンドオーブン)のコンベア上に並べる配列機を使えば、人手を介さず自動で焼成工程に受け渡せます

天板に載せる場合でも、プッシャー式やシャトル式の配列機で生地を一定間隔で天板に並べ、自動搬送できます。

焼き上がったクッキーは冷却コンベヤーで常温まで冷やし、その後自動包装機へ送られて個包装・袋詰めされます。各機械を上手く連結することで、成形から焼成、包装までの一貫自動ラインが実現し、省力化と生産性向上に繋がります。

コバードでは、包あん成形機に後工程装置を接続したカスタムライン提案も可能で、既存設備との連携についても対応可能です。

クッキー成型機の種類と特徴

クッキー成形機には生産したいクッキーの種類や規模に応じて様々な方式があります。

代表的な方式ごとの特徴を理解し、自社製品に適した機種を選ぶことが大切です。

押出成型式(ドロップクッキー・絞り出しに)

押出(デポジット)成型式のクッキー機は、生地をホッパーからポンプやスクリューで押し出し、ノズル先端から絞り出して成形するタイプです。

ドロップクッキーや絞り出しクッキーと呼ばれる種類のお菓子に適しています。

ノズルの形状や動きを変えることで、星形の絞り模様や渦巻き模様など多彩な形状を一台で表現できるのが強みです。

押出成型式は生地の吐出量をプログラムで細かく制御できるため、手作業ではばらつきがちなクッキーのサイズ・重量も均一に揃えられます。

柔らかい生地や水分・油分の多い生地でも安定して押し出せるよう工夫された機種もあり、例えばコバードのロボセブンシリーズでは独自の生地送り機構で素材を傷めずスムーズに吐出できます。

ロータリー式(丸型・アイスボックスクッキー向け)

ロータリー式成形機は、回転ドラム上に彫られた型でクッキー生地を打ち抜き成形する方式です。

ビスケットやクッキー生地を一度ローラーで帯状に延ばし、ドラムの型で丸型やキャラクター形状に抜き出すことで、均一な形の生地片を連続的に作ります。

一般的なビスケットはこの方式で大量生産されており、厚みや直径の揃った製品が得られます。

また、アイスボックスクッキーのように円柱状に成形・冷却した生地をスライスして作るタイプのクッキーも、ロータリー式の打ち抜き成形で代替可能な場合があります。高速回転による量産に適しており、生地に型押し模様やロゴを付与することも可能です。

ただし生地の硬さや水分量に適切な調整が必要で、あまり柔らかすぎる生地には不向きなため、生産するクッキーの種類に応じた生地設計と組み合わせて活用します。

手動タイプの小ロット対応モデル

小規模生産や多品種の試作には、手動・卓上タイプの成形機も選択肢となります

手動タイプのクッキー成形機は、電動モーターでの自動押出ではなく、フットペダルやレバー操作で1枚ずつ生地を押し出すデポジター(絞り出し器)などが代表例です。

1分間にできるクッキーの数は自動機に比べると少ないですが、機械コストが低く抑えられ、少量多品種の生産に向いています。

卓上サイズで場所を取らず、コンセントさえあれば厨房の一角で運用できる手軽さも魅力です。

例えば試作品の開発や季節限定クッキーの小ロット生産では、大型ラインを動かすより手動機で対応した方が効率的な場合もあります。

なお、将来的に生産量が増えた際には、自動成形機やライン機への移行も視野に入れると良いでしょう

クッキー製造機を導入するメリット

クッキー製造機(成形機やその周辺機器)を導入することで、従来の手作業にはない多くのメリットが得られます。ここでは主な利点を挙げ、その効果を説明します。

人件費削減と歩留まりの向上

製造機械の導入によって大きく期待できるのが人件費の削減です。

成形作業を機械化すれば、これまで数人がかりだったクッキングの丸め・押し出し作業も1台の機械とオペレーター1人で済む場合があります。

人手不足が深刻化する中、省人化は企業の競争力強化にも直結します。また、機械成形は計量が正確で製品のばらつきが少ないため、生地の無駄を減らして歩留まり向上にも寄与します。

製品の均一性・品質安定化

機械を使う最大の利点の一つが、製品品質の均一化です。手作業では職人の技量によって形や大きさに差が出がちですが、成形機を通せばすべてのクッキーがほぼ同一の形状・重量になります。

均一な大きさの生地は火通りも揃うため、焼きムラが減り品質が安定します。

機械化によってヒューマンエラーが減り、ロット間での品質ばらつきも少なくなるため、安心して大量生産できるようになります。

高粘度・高脂肪生地にも対応可能

バターやピーナッツペーストを多く含む生地、あるいは水分が少なく粘度の高い生地は手作業でも扱いにくいものです。

従来は機械での押し出しが難しかった高粘度・高脂肪生地も、最近では対応できる成形機が登場しています。

コバードのロボセブンシリーズでは、縦型ホッパーと低速スクリューによる自重落下方式に加え、独自開発のベーンポンプを採用することで、生地を必要以上に練らずに優しく送り出すことが可能です。

その結果、餅のように粘りの強い素材や乳脂肪分の高い柔らかいクリームでも、生地を痛めずに美しい形状で成形できます。

アイスボックス・チョコチップ入りなど特殊生地への対応も

アイスボックスクッキー生地(冷やし固めてスライスするタイプ)や、チョコチップ・ナッツなど固形物を混ぜ込んだ生地も機械化で対応可能です。

冷蔵固化した生地をスライスする場合、超音波スライサーを使えば包丁で切るよりも割れや欠けを防ぎ、美しい断面に仕上がります。

また、生地中のチョコチップやナッツは刃物に当たると崩れたり刃に付着したりしがちですが、超音波刃は高速微振動でクリーム状の粘着物も付きにくく、固形混入生地のカットに威力を発揮します。

コバードのクッキーを成形できる機械・シリーズ|導入メリットを紹介

老舗の食品機械メーカーである株式会社コバードは、和菓子から洋菓子まで幅広い自動成形機を手掛けており、クッキー製造向けにも優れた機種を提供しています。

130年以上の歴史で培った技術力と、導入企業の要望に応じたカスタマイズ対応力が強みです。

ここではコバードの代表的なクッキー成形ができる機械とその特徴・導入メリットを紹介します。

SR7S|中型生産向けのスタンダードモデル

SR-7S

項目 内容
特徴 標準的なクッキー生地の成形はもちろん、詰め物入りのお菓子やパン生地の成形にも使える汎用性の高さ
最大生産能力 1,200個/時
製品重量 10g~70g
機能 100種類の製品生産データが登録可能
対応食品 アイスボックスクッキー、チャンククッキー、フルーツ大福、白玉団子、チュロス

コバードの小型包あん成形機「SR-7S」。コンパクトな筐体に充実の機能を備えたスタンダードモデルです。

SR7S(スモールロボセブン・スーパー)はこれまでにない超小型ボディで、小規模工場や店頭実演用にも最適な機種です。

部品が軽量で着脱清掃が容易に設計され、カラー液晶タッチパネルによる簡単操作で誰でも扱いやすい点が特徴です。小型ながらパワフルで連続生産が可能で、最大1,200個/時という十分な生産能力を持ちます。

製品メニューは100種類までメモリ登録でき、ボタン一つで生産品目を切り替え可能なため、多品種生産にも対応できます。

標準的なクッキー生地の成形はもちろん、詰め物入りのお菓子やパン生地の成形にも使える汎用性の高さも魅力です。

省スペース・高性能なSR7Sは、これから機械化を始める中規模メーカーにとって頼れる一台と言えるでしょう。

シート成形機 ゼロプレッシャーモルダKZPM

シート成形機KZPM

項目 内容
特徴 ひっぱり成形方式で加圧や練りを行わず、柔らかいクリーム状素材や付着しやすい生地でもダメージなく連続シート化・角棒状に成形が可能
成形寸法目安 ・シート:幅50〜800 mm/厚み2〜30 mm
・角棒:幅5 mm〜(1本あたり)/厚み2〜30 mm
機能 シンプル構造で操作・清掃が容易、要望に応じて仕様カスタマイズ可
対応食品 サブレ、クリームサンドクッキー、チョコチップスコーンなどシート・棒状成形菓子全般

コバードが開発した「ゼロプレッシャーモルダKZPM」は、従来のロール圧延や押し出しでは傷みやすい素材でも非加圧で引き延ばす独自方式を採用し、素材本来の食感と風味を保持したまま連続成形を実現します。

具体的には、シートを裁断してクッキーやスコーン、角棒を冷却してチュロスなどへ多用途展開が可能です。

操作パネルは直感的で、ライン清掃も工具レス着脱パーツにより短時間で完了。

工場の既存ラインにも組み込みやすく、少量多品種から中量生産まで柔軟に対応します。

ゼロプレッシャーモルダKZPMは、これまで「クリームが柔らかく自動化できなかった」「生地が粘着してラインが止まる」といった課題を抱える菓子・ベーカリー事業者の省人化・品質安定・歩留まり向上に貢献する一台です。

【よくある質問】クッキー成型機・製造機に関するQ&A

ここでは、クッキー成形機や製造ラインの導入を検討する際によく寄せられる質問とその回答を紹介します。

クッキー成型機の導入にはどれくらいのスペースが必要ですか?

クッキー成型機の大きさは機種により様々ですが、コンパクトな卓上・小型モデルからライン組込を前提とした大型モデルまであります

小規模向けの成形機であるコバードSR7Sの場合、本体サイズは幅805mm×奥行627mm、高さ850mm程度と非常にコンパクトです。

安全な作業のため本体周囲にも作業・点検スペースを確保する必要があります。

導入前には機械寸法とレイアウト図を確認し、自社工場内で十分な設置スペースと動線が確保できるか検討しましょう。

高粘度・ナッツ入りなどの生地でも対応できますか?

適切な機種を選べば高粘度の生地や固形物混入生地にも対応可能です。

例えばコバード製の成形機には、生地を優しく押し出す独自ポンプ機構により餅のように粘りの強い素材でも生地を傷めず成形できるモデルがあります。

卓上機とライン機、どちらが向いていますか?

生産量や運用目的によって適切な機種は異なります。

小規模工房や新商品の試作目的であれば、卓上型・小型の成形機が向いています。

例えばコバードのSR7Sのような超小型モデルは店頭実演にも使えるサイズで、少ない設置スペースでも稼働可能です。

小型機は初期投資を抑えつつ、必要最低限の量産自動化を実現でき、多品種少量生産にも柔軟に対応できます。

対して大規模生産や完全自動ライン化を目指す場合は、ライン機(大型の連続成形機+周辺機器)が適しています。

デモや試作は可能ですか?

導入検討の段階で実際に実演ルームにお越しいただき、希望する製品が問題なく製造できるか試作検証を行うことができます

試作テストでは生地配合の調整やオプション装置の組み合わせなど、実機を使って細かな調整を行えるため、導入後のミスマッチを防ぐことができます。

まとめ

この記事では、クッキーの機械や特徴、導入のメリットについて解説しました。

クッキーの製造には、生地の成形・カットから焼成・包装まで、各工程に適した専用機械が必要不可欠です

手作業では難しい均一な品質の確保や大量生産にも、成形機や周辺機器の導入によって効率的かつ安定した製造が可能となります。

特に、近年の製造機は高粘度生地やナッツ入りなど特殊な素材にも対応できる柔軟性を備えており、多品種少量生産から本格的なライン構築まで、目的に応じた選択肢が揃っています。

さらに、生産性向上だけでなく、材料ロスの削減や作業者の負担軽減といった点でも、機械導入のメリットは大きいと言えるでしょう。

機械選定にあたっては、自社の製品特性や生産量に応じた最適な機種を選ぶことが重要です。