ハンバーグは機械で作れる?機械化が進んでいる理由やメリットデメリット、オススメ機種を紹介
ハンバーグを手ごねで作るのは家庭的ですが、業務の現場では機械を使って大量生産する流れが加速しています。
その背景には、人手不足の深刻化や品質・衛生への要求の高まりがあり、機械導入によって生産性と品質の安定を両立させる狙いがあります。
本記事では、ハンバーグ製造の機械化が進む3つの理由と、そのメリット・デメリット、機械選定のポイントやおすすめ機種について詳しく解説します。

ハンバーグ用の機械導入が進んでいる3つの理由

ハンバーグ向けの機械導入が進んでいる理由は以下の通りです。
- 人手不足・熟練者依存から脱却したい
- 品質のばらつき・歩留まり悪化を防ぎたい
- 衛生管理・トレーサビリティの要求が高まっている
それでは詳しく解説します。
人手不足・熟練者依存から脱却したい
深刻な人手不足に悩む食品製造の現場では、限られた人員で安定した生産を続ける必要があります。
ハンバーグづくりをすべて手作業に頼っていると、生産量に限界があるだけでなく、特定の熟練者に品質が依存してしまいがちです。
そこで、機械にできる作業は機械に任せ、人は人にしかできない作業に集中するという発想が重要です。
例えば形成や混合といった工程を自動化すれば、少ない人手でも24時間稼働で生産力を確保でき、人手不足と生産性向上を同時に実現できます。
機械導入は作業者の負担軽減にもつながり、結果的に現場の定着率アップや働き方改革にも寄与します。
品質のばらつき・歩留まり悪化を防ぎたい
ハンバーグの品質は、材料の混ぜ具合や成形時の圧力・厚みで決まります。
しかし手作業では職人ごとのクセや日々のコンディションで仕上がりに差が出てしまい、ある日は柔らかくジューシーでも別の日は固く縮んでしまう、といったばらつきが起こりがちです。
機械を使えば一度設定した重量や形状で毎回同じサイズのパティが成形されるため、加熱後の仕上がりも安定します。
機械化によって常に一定の品質と高い歩留まりを実現できれば、クレームや返品ロスの減少にも寄与します。
衛生管理・トレーサビリティの要求が高まっている
大量生産の現場では、「異物混入ゼロ」や「徹底した衛生管理」が大切です。
人の手作業中心では、どうしても異物混入や微生物汚染のリスクを完全には排除できず、HACCPの観点でも課題となります。
機械化を進めれば、人の手が食品に触れる工程を減らせるため、、衛生面のリスクも下げることができます。
ハンバーグ製造に関わる機械の種類一覧

ハンバーグ製造に関わる機械はさまざまです。
- ひき肉をこねる機械
- ハンバーグ成形機・包あん成形機
- 充填機・分割機・ライン機器
それぞれの機械について詳しく解説します。
ひき肉をこねる機械
ハンバーグのタネ作りを効率化する機械は、主にニーダー、ミキサー、真空タンブラーの3種類です。それぞれの役割と適した用途を以下の表にまとめました。
| 機械の種類 | 主な役割 | 強み・メリット |
|---|---|---|
| ニーダー | 強力なこね・混合 | 大容量を短時間で均一に練り上げる |
| ミキサー | 均一な混ぜ | 多目的に使え、小型でもムラなく混ざる |
| 真空タンブラー | 浸透・肉質改善 | 真空状態で調味液を素早く浸透させる |
ニーダーは、一度に大量の肉ダネを仕込む際に最も適した機械です。強力なアームで粘りが出るまでしっかりと練り上げることができ、手作業では難しい大量の製造を短時間で練り上げられます。
ミキサーは、ひき肉と他の材料(玉ねぎやパン粉)を均一に混ぜ合わせることに長けている機械です。小型機であっても混ぜムラが少ないのが特徴です。
真空タンブラーは容器内を真空状態にして回転させることで、肉の組織の隙間にまで調味液を浸透させます。味ムラをなくすだけでなく、肉質を柔らかく仕上げる効果もあり、調味・肉質改善の工程をすべて自動化できるのが大きな利点です
これらの機械を効率的に活用することで、美味しいハンバーグ作りの自動化を進められます。
ハンバーグ成形機・包あん成形機
ハンバーグ成形機は、練り上げた肉ダネを一定の重量・形状に自動成形するための機械です。
丸形や小判型などを安定して成形でき、手作業によるばらつきや成形の手間を大幅に削減できます。
近年人気のチーズインハンバーグなど具入り商品には、生地で具材を包み込める包あん成形機の活用が有効です。
成形機を導入することで、形・重さを揃えたハンバーグを高速かつ大量に生産でき、生産効率と品質の両立が可能になります。
充填機・分割機・ライン機器
ハンバーグ製造の生産性を最大化するには、成形機単体だけでなく、前後の工程をつなぐ周辺機器の活用が不可欠です。主な機器の役割をまとめました。
| 機器・システム | 主な役割 | 強み・メリット |
|---|---|---|
| 充填機(フィラー) | 肉ダネの自動供給 | 成形機へ一定量を安定供給して手作業を削減 |
| 連続生産ライン | 工程間の直結 | ワゴン運搬のロスを減らして大量生産を実現 |
| コンベア・加熱設備 | 成形後の自動処理 | 加熱から冷却まで人手を介さずスムーズに連結 |
ハンバーグ製造では、成形機だけでなく充填機(フィラー)やコンベアなどの周辺機器が生産効率を左右します。大量生産を目指す場合は、ミキサー→充填機→成形機を直結し、ワゴン運搬を減らした連続ラインが有効です。
さらに成形後は、フライヤーやオーブン、急速冷凍機などの加熱・冷却設備をコンベアでつなぐことで、人手を介さず処理できます。
ハンバーグの機械化によるメリット・デメリット

ここからは、ハンバーグの生産を機械化するメリット・デメリットについて解説します。
ハンバーグの機械化によるメリット
ハンバーグの機械化によるメリットは以下の通りです。
- 均一な仕上がりと歩留まり改善
- 品質の安定とクレーム減少
- 生産性向上と人手不足対策
- 作業者の負担軽減と技術継承
機械で成形すると重量や厚みが常に一定になり、焼き縮みが減ってサイズが揃った製品になります。原料ロスや形崩れによる不良品も減るため、結果として歩留まり(製品収率)が向上します。
また、人手作業のばらつきや火の通り、ジューシーさも均一化できるため、毎日同じ品質のハンバーグを提供できることに加え、クレームや返品ロスが減少し、顧客満足度が高まります。
自動成形機により1時間あたりの生産個数が飛躍的に増え、人手に換算しても大幅な省力化になります。これにより慢性的な人材不足を補い、少人数でも大量生産が可能になります。
さらに、ハンバーグの生産で最も重労働である大量の手ごねから解放されるため、少人数でも大量生産が可能に。作業者の体力的負担や単純作業によるミスも減るでしょう。
ハンバーグの機械化によるデメリット
ハンバーグの機械化によるデメリットは以下のとおりです。
- 初期導入コストが高い
- 機械の習熟とメンテナンス
- 設備スペースとレイアウト変更
- 機械を扱うには操作方法の習熟や日常のメンテナンスが不可欠
場合によっては、スタッフへの教育訓練に時間がかかるほか、誤操作による事故リスクもあるため安全面の配慮も必要になるでしょう。以上のようなデメリットもありますが、これらは事前対策や段階導入でカバー可能です。
例えば小型機から試験的に導入してノウハウを蓄積し、徐々に規模を拡大するのも一つの方法です。最近はメーカーからテスト機を借りて実際に自社製品を試作するトライアルもできますので、導入前にしっかり検証すればリスクを減らせます。
業務用のハンバーグ生産機械を選ぶポイント

業務用のハンバーグ機械を選ぶポイントは以下の通りです。
- 1日の生産量とピーク時間から必要能力を逆算する
- 商品コンセプト(肉粒感・具入り・手作り感)との相性
- レイアウト・洗浄性・衛生面の確認
以上のポイントを抑えていれば、機械選びで失敗することは少なくなります。
1日の生産量とピーク時間から必要能力を逆算する
機械選定では、目標とする生産量から必要能力を逆算することが重要です。まず1日の製造個数と稼働時間を決め、1時間あたりに必要な生産数を算出しましょう。
例えば1日3,000個を8時間で製造する場合、必要能力は約375個/時となりますが、注意すべきはピーク時間帯です。
昼の弁当需要や夕方の惣菜需要など、短時間に生産が集中する場合は、その時間内に間に合う処理能力が求められるため、余裕を持った能力の機種を選ぶのがポイントです。
また、将来的な増産も見据えて、現状より少し高めの処理能力を持つ機械を選んでおくと、後からラインを組み直すリスクを減らせます。
商品コンセプト(肉粒感・具入り・手作り感)との相性
導入する機械は、作りたいハンバーグのコンセプトに合わせ、味・食感・見た目という自社商品の強みに合った成形方式を選ぶことが重要です。
例えば、粗挽き肉の食感を残したい場合は、練りすぎず低速で成形できる機種が向いています。一方、なめらかで柔らかい食感を重視するなら、真空ミキサーでしっかり練った生地を成形する方式が適しています。
また、チーズやソース入りの商品を作る場合は、包あん成形機能を備えた機械が必要です。ロボセブンシリーズのように二重成形が可能な機種であれば、チーズインハンバーグやソース入り商品も量産できます。
レイアウト・洗浄性・衛生面の確認
機械を選定する際は、設置環境と日々の運用しやすさも重要なポイント。設置スペースに無理がないか、原料投入や製品取り出しの動線がスムーズか、水場・排水設備との位置関係も事前に確認しましょう。
また、食品機械は毎日の洗浄が前提となるため、分解・清掃のしやすさは欠かせません。
工具なしで部品を着脱でき、部品点数が少ない構造であれば、洗浄時間と作業負担を大きく減らせます。ロボセブンシリーズのようにワンタッチ分解が可能な機種は、現場で評価されやすい例です。衛生面では、食品接触部がステンレス製であることや、汚れが溜まりにくい設計かも確認しましょう。
工場のレイアウトや衛生基準に合った機械を選ぶことで、導入後のトラブルや手間を防げます。
ハンバーグ機械導入の失敗しない進め方

ハンバーグ製造機械の導入を成功させるには、計画的な準備と段階的な検証が重要です。以下のステップで進めると、失敗のリスクを抑えられます。
- 現状課題の棚卸しと目標設定
- 機種選定〜テスト成形(トライアル)の流れ
- 導入後のレシピ最適化・オペレーション構築
それでは詳しく解説します。
現状課題の棚卸しと目標設定
製造現場の課題(例:残業、品質のばらつき)を洗い出し、機械導入で実現したい目標を明確化します。
「省人化で週〇時間残業削減」「重量ばらつきを±2g以内に抑制」など、定量的な目標を設定し、導入目的を社内で共有しましょう。
機種選定〜テスト成形(トライアル)の流れ
目標に適した機種をリストアップし、メーカーから情報を収集します。可能であれば、実機デモや工場見学で性能や使い勝手を確認しましょう。
自社の食材を持ち込んでテスト成形(トライアル)を行い、成形品の出来栄えや効果を事前に検証すると、導入後のイメージがつきやすくなります。
また、価格だけでなくアフターサポート体制も含め総合的に比較検討し、機種を決定します。
導入後のレシピ最適化・オペレーション構築
機械の設置と並行して、新しいオペレーション手順を整備しましょう。機械操作のマニュアル化、洗浄・点検ルールの設定、人員配置の見直しなど、現場訓練を徹底します。
また、実際に機械で作った製品で味や食感を最終調整(レシピ最適化)し、必要に応じて配合や練り時間を微調整します。
導入直後は、計画に余裕を持たせ徐々に稼働率を上げることで、スムーズな移行を実現します。
ハンバーグの大量生産ができる機械一覧

業務用ハンバーグ製造機として、コバードの「スーパー包あん成形機 ロボセブンシリーズ」が代表的な選択肢です。
ロボセブンシリーズにはAR-881, SR-7S, AR-880-W, AR-880-Tといったモデルがあり、生産能力は毎時1200個程度から最大毎時14400個までカバーしています。
以下では、このシリーズの特長をポイントごとに紹介します。
特徴1:多品種・高付加価値商品を生産できるコバード社のロボセブン
コバードのロボセブンシリーズAR-881は、和洋菓子から惣菜まで多用途に使える最新型の包あん成形機です。同シリーズは元々高品質な和菓子やパンの製造に強みを持ち、ハンバーグ・メンチカツ・コロッケ・チーズインハンバーグなど惣菜系の商品にも応用できます。
一台で多種多様な製品を成形できるため、新商品のアイデア次第で高付加価値なラインナップを展開可能です。
実際、最新モデルのAR-881では自動化・省人化と同時に品質向上も追求されており、手作業以上のクオリティで安定生産できるよう進化しています。
「この機械で作れないものはない」と言えるほど対応範囲が広く、多品種小ロット生産にも柔軟に対応できる点が大きな魅力です。
特徴2:素材を傷めない生地送りと手包み感のある仕上がり
ロボセブンシリーズ最大の特長の一つが、素材を傷めずに成形できる点です。
縦型ホッパーから低速スクリューで生地を落とし込む独自構造と、シャッター式の成形フィラーにより、肉ダネやフィリングを余分な力をかけずに優しく包み込むことができます。その結果、粗挽き肉の粒感を活かしたハンバーグでも繊維を潰しすぎずに成形でき、手でまるめたようなふっくら感を再現できます。
またクリームチーズやとろみのあるソースなど柔らかい具材でも、一緒に包み込んで成形可能なため、具入り製品でも中身を潰したり漏らしたりしにくい構造です。
ロボセブンを使えば、機械成形でありながら見た目も食感も手作りに負けないハンバーグを作り出すことができます。
特徴3:1,200〜14,400個/時の生産能力で、省人化と安定生産を両立
ロボセブンシリーズは、小規模施設向けのスモールロボセブンSR-7S(毎時1200個程度)から、大量生産対応のAR-880-T(三連式)(最大毎時14400個)までラインナップされています。
これにより、導入先の規模に合わせて無理のない機種選定が可能です。
それぞれの機種概要は以下の通りです。
| 機種名 | 主な用途 | 最大生産能力 | 製品重量レンジ | 操作・機能の特長 |
|---|---|---|---|---|
| AR-881 | 和菓子・洋菓子・パン・惣菜・冷凍食品 | 3,600個/時 | 5g~250g※素材により変動 | ・カラー液晶タッチパネル ・100種類の製品データ登録(No.0~99) ・材料残量が少ない設計 ・多彩な特許オプションで高付加価値生産に対応 |
| SR-7S | 和菓子・洋菓子など小物製品 | 1,200個/時 | 10g~70g※素材により変動 | ・カラー液晶タッチパネル ・100種類の製品データ登録(No.0~99) ・省スペース・小規模生産向け |
| AR-880-W | 中~大量生産ライン | 9,600個/時 | 5g~150g | ・高い生産能力を重視したモデル ・量産向けの安定生産 |
| AR-880-T | 和菓子・洋菓子・パン・惣菜・冷凍食品 | 14,400個/時 | 5g~100g~150g | ・3列取り生産(芯間141mm) ・100種類の製品データ登録 ・材料残量が少ない経済設計 ・多彩な特許オプション対応 |
まとめ
ハンバーグの機械化は、いまや大規模工場だけでなく中小の食品工場や惣菜店でも現実的な選択肢となっています。
生産量の増加や人手不足といった課題に対し、機械導入は省人化と品質安定を同時に実現できる有効な手段で、実際に自社生産への切り替えによるコスト削減や、職人依存からの脱却に成功する例も増えています。
重要なのは、自社の規模や商品コンセプトに合った機械を選ぶことと、導入前後のテスト・調整を丁寧に行うことです。本記事を参考に、ハンバーグ機械の導入を検討してみてください。
なお、株式会社コバードでは、定期的に機械の実演会を実施しているだけでなく、機械の相談、稼働テスト導入等を受け付けております。「うちの素材でハンバーグは作れる?」「こんな商品は製造できる?」といった質問でも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。

