スコーンの機械が解決する3つの課題|導入コストの目安も紹介

2025/11/28

スコーンは「外はサクサク・中はふんわり」という独特な食感を持つお菓子です。

これらを安定して再現するには、専用機械の導入が効果的です。

本記事では、スコーン製造で専用機が解決する主な3つの課題を紹介します。さらに、導入コストの目安や機械選定のポイントも解説します。

スコーン専用機械が解決できる3つの課題

スコーン専用機械が解決できる3つの課題は以下の通りです。

  • 一般的な製菓機械では作れない層の再現
  • 作業者依存を減らした品質担保
  • スコーンのバリエーションが広がる

それぞれの解決できる課題について詳しく解説します。

一般的な製菓機械では作れない層の再現

スコーン特有の生地は、固さのある練りこみ方と冷却の両立が求められます。

生地を重ねて層を作る工程は職人技に頼ると出来栄えにばらつきが出やすいのですが、専用機では層をつぶさずに連続シート成形できる機能が付いています

例えば、コバード社の「ゼロプレッシャーモルダ KZPM」は、素材に加圧やせん断を加えずに生地を引っ張り成形するシート成形機です。

この方式なら、従来の成形機で傷みやすかった柔らかい生地でも連続的にシート化でき、スコーンの層状構造を壊さずにきれいに成形できます

作業者依存を減らした品質担保

従来、粉合わせや折り込みなどのスコーン生地作りでは職人の勘と技術に頼る部分が多く、作る人によって味・食感に差が出やすい工程でした。

ですが、自動化機械であれば、ミキシング時間や温度管理をプログラムで再現できるため、作業者によるばらつきが減ります

スコーン製造においても同様に、専用ミキサーや形成機械を導入することで品質の安定化が可能です。

スコーンのバリエーションが広がる

近年はグルテンフリーや健康志向の高まりを受け、全粒粉や米粉、豆乳などさまざまな素材を使ったスコーンが注目されています。これら素材は粉の性質や水分含有量、油脂量が異なるため、従来の機械では扱いにくい場合があります。

スコーン専用機には粘度調整機能や充填方式の切り替えができるものがあり、生地の粘度に応じて最適な充填・成形方法を選べます

たとえばデポジッター(生地絞り機)では、「3本ローラー式」で硬いクッキー生地を、「ピストン式」で液状に近い生地を扱えるように設計されている機種もあります。

このように、機械側で生地特性に合わせた対応が可能なため、季節に合わせた商品や素材を変えた商品など、スコーンのバリエーションが広がります。

スコーン製造に使われる主な機械とその役割

スコーンの製造工程には主に「生地練り」「成形」「焼成前の準備」の各ステップがあり、それぞれに対応する機械が存在します。

ここでは生地作りから成形までに用いられる代表的な機械とその特徴を見ていきます。

ミキサー・ニーダー

スコーン生地の混合には、過度な温度上昇を抑えつつ均一な生地に仕上げることが重要です。

特にスパイラルミキサーは、攪拌時の熱上昇が小さいため生地温度を一定に保ちやすく、短時間で滑らかな均質生地を作ることができます

手作業で生地を擦り合わせるような仕上がりを狙うスコーン作りにおいても、こうしたミキサーを使えば手ごね品質の再現が容易になります。

成形機

成形機には大きく分けて押出式(エクストルーダー)とロータリー式があります

押出式成形機は、生地を連続的に絞り出して板状や棒状に成形する方式で、層を潰さずスコーン生地を供給できます。

対してロータリー式成形機は、回転する円筒上に型が彫られており、柔らかい生地を抜き取るように打ち抜く方式です。

いずれの方式でも、後の焼成で「腹割れ」を出しやすいように設計されています。

実際、コバードのシート成形機「KZPM(シート成形機 ゼロプレッシャーモルダ)」は生地に加圧をかけずひっぱり成形を行うため、デリケートな生地を傷めずにシート化できます。こうした専用成形機を使うことで、層を生かしたまま成形し、きれいな腹割れを実現できます。

生地絞り機(デポジッター)

デポジッター(生地絞り機)は、粘度の違いにも対応できるよう複数の機構を備えたモデルがあります。

クリームや多様なフレーバーを混ぜ込んだスコーンでは、生地の硬さ(粘度)が一定しません。

しかし、デポジッターがあればプレーン生地からチョコレート練り込み生地、抹茶生地など粘度の異なる材料でも同じ生産ライン上で処理できる柔軟性があります

スコーン作りに使える機械の導入コスト目安

機械導入の費用は工場規模や仕様によって幅がありますが、ミキサー単体であれば100~300万円程度、成形ライン一式(成形機+関連装置)では500~1,000万円前後が相場です。

成形ライン一式導入の場合は500~1,000万円前後で、押出機やロータリー成形機、振り分け装置など一式を揃えるとこの金額になります

段階導入の考え方としては、まず小ロット用ミキサーや簡易成形機で試し、必要に応じてライン拡張していく方法もあります。中規模事業者でも部分導入から始めれば費用対効果を得やすいでしょう。

なお、ここで示した価格は新品国内メーカー品を前提にしています。最新モデルやオプションの選定で価格帯は変動するため、見積もりの際は仕様を慎重に検討してください。

株式会社コバードのスコーン作りに使える機械一覧

株式会社コバードは製菓・製パン分野で多彩な自動化機械を扱っており、スコーン製造に応用できる代表的な機械には次のようなものがあります。

シート成形機 ゼロプレッシャーモルダ KZPM:食材に加圧をかけない「ひっぱり成形」で連続的に生地シートを作る成形機です。チョコチップスコーンやクリームサンドクッキーなど、デリケートな素材にも対応可能。

ロボセブンシリーズ SR7S:小規模ライン向けのコンパクト包あん機です。省スペース設計で、限られた場所でも高品質な製品を安定して生産できます。スコーン生地の押出成形にも応用でき、店舗併設工房や小規模工場に適しています。

マジックハンドシリーズ MH-1: 高精度な包あん成形機で、ドーナツやあんまんなどへの対応を想定していますが、小ロットで多様な形状を試作する際にも有効です。

超音波マルチカッター :食品を美しくカットする機械で、崩れやすいケーキなどの素材もきれいにカットできます。

導入前に確認したい3つのチェックポイント

機械導入を成功させるには、事前に自社の条件を整理しておくことが重要です。以下の3点を確認しましょう。

自社レシピとの相性(粘度・油脂量)

生地中の水分量やバター・油脂分が多いほど粘度が上がり、機械の性能選定に影響します。

例えば、デポジッターの場合は液状に近い生地用のピストン充填機構か、硬い生地用のローラー式かを選択する必要があります。

まず自社レシピの組成を把握し、対応する機械構造やオプションを確認しましょう。

生産量の見通しと拡張性

初期は部分導入で一部の工程だけ機械化し、後にラインを拡張するケースが増えています。

一度に大規模設備を導入せず、まずはミキサーや成形機の単体から導入し、必要に応じて成形ラインやオーブンと組み合わせていくと無駄がありません。

拡張性を持つ機械構成かどうか、増産時の対応可否もチェックポイントです。

機械メーカーのサポート体制

導入時の仕様検討や現場テスト、導入後のメンテナンス・技術支援が充実しているメーカーを選びましょう

現場での試運転を含めたテスト稼働を依頼し、導入後も品質維持のためのフォローアップが受けられると安心です。

コバード社のように「オリジナル自動機の相談・導入支援サービスやアフターメンテナンス体制」を強みとするメーカーもあります。

まとめ

スコーン製造に特化した機械を導入することで、「中は層状・外はサクサク」というスコーン独自の食感を安定して再現できます。

さらに、粘度調整機能などにより全粒粉・米粉・豆乳といった多様な材料にも対応できるため、新しいレシピ展開や商品バリエーションも可能です。

導入コストはミキサー単体で数百万円、成形ラインで数千万円が目安ですが、小規模ラインから段階的に導入することで投資効率を上げることができます。

導入前には自社レシピとの相性・生産計画・メーカーサポート体制を十分検討し、機械選定を行ってください。これらのポイントを押さえて計画すれば、中小規模の製菓工場でもスコーン製造の機械化をスムーズに進められるでしょう。