製パン機は、家庭用から業務用まで幅広い商品が展開されており、主に「こねる・発酵させる・焼く」の工程を機械で行えます。
ホームベーカリーは主に「こねる・発酵させる・焼く」という工程をすべて行えますが、生産できる品に限りがあるため、業務用として利用することは難しいです。
その一方で業務用の製パン機は数十キロ単位の生産処理ができ、連続生産ラインにも組み込めるため、大量の品を生産できます。
そこで本記事では、製パン機の特徴や家庭用機器と業務用機器の違い、製パン機をラインに組み込むメリットについて解説します。
製パン機とは?基本的な機能と種類

製パン機とは、生地のこね、発酵、焼成など、それぞれの工程を自動化できる機械のことを指します。
ここからは、製パン機の基本構造や主要機能、パンこね機やパン焼き機との違いについて解説していきます。
製パン機の基本構造と主要機能
製パン機は主にミキシングパン、羽根(パドル)、加熱ヒーター、制御パネル等で構成されており、生地のこね、発酵温度・時間管理、焼成温度・時間管理を機械が自動で制御してくれます。
これにより、手作業では難しかった温度・湿度の最適管理が可能となり、安定した品質のパンを効率的に生産できます。
パンこね機やパン焼き機との違いと役割
パンこね機(ニーダー)は生地の混合・こねあげに特化し、大容量の粉量にも対応する強力モーターを持つのが特徴です。
しかし、発酵や焼くといった作業はできないため、別途設備を拡張する必要があります。
一方、パン焼き機はオーブン機能に特化し、温度制御と焼きムラ防止のためのスチームジェネレータや断熱構造を搭載しており、こねや発酵等の工程は専用機器との組み合わせで運用します。
これらをラインに組み合わせることで、製パン全工程を最適化できます。
製パン機導入のメリット
ここからは製パン機の導入の3つのメリットを紹介します。
- 自動化による人件費削減と生産性向上
- 高精度な製パン機による品質の安定化
- 原材料の最適化と食品ロスの最小化
それでは詳しく解説します。
自動化による人件費削減と生産性向上
製パン機を導入することで、手作業で必要だったこねやカット、焼きなどの工程を自動化でき、人手を他の付加価値業務(営業や売上に直結するような業務)に回せるため、人件費削減に直結します。
さらに、24時間稼働が可能なモデルを選べば、従来の1.5倍以上の生産量を安定的に確保でき、繁忙期にも安定供給が可能となります。
高精度な製パン機による品質の安定化
製パン機は、温度・湿度・こね時間・焼き条件などをデジタル制御できるため、毎回同じ条件でパンを仕上げられます。
これにより、手作業で生じやすいバラつきが大幅に抑えられ、顧客からのクレーム減少やリピート率向上につなげられます。
原材料の最適化と食品ロスの最小化
製パン機は、分割機能や計量機能が高く、粉量や水分量を正確に設定できるため、原材料の無駄を抑制できます。
また、余剰生地や焼きムラのある製品を削減できるため、全体の食品ロス削減にもなります。
これにより、食品ロスを減らしながら安定供給が可能となるため、コスト削減と売上アップの両立が可能です。
製パン機の選び方

製パン機はただ「業務効率化につながるから」といって機械を導入していては、思うように成果が出ません。
製パン機の導入に失敗しないために、以下の3つの選び方のポイントを確認しておきましょう。
生産数で決める
まずは一日に必要な生産量を算出し、それを余裕をもってこなせる処理能力(斤数/時間)を持つ機種を選びます。
1日の4000個の製造を目指したいなら、工場の稼働時間を考慮し、1時間で何個作成すると目標の個数を達成できるか考えましょう。
生産品種の種類で決める
食パン、ロールパン、菓子パンなど製造するパンの種類に応じて必要な機能が異なります。
例えば、バゲット等の形状を整えるには可変圧力設定や低温長時間発酵モードが必要であり、多品種に対応するには複数品種に柔軟に対応できる機械が適しています。
特殊な米粉パンやグルテンフリー生地を扱う場合は、専用モードやアタッチメント対応の製パン機を選ぶことで品質を確保することも可能です。
操作性で決める
タッチパネルやプリセットメニューの有無など、操作性は現場の習熟度に大きく影響します。
シンプルなインターフェースで直感的に使えるモデルは、導入後の教育コストを下げ、トラブル時も迅速に対応できます。
ただし、操作性は実際に触ってみないとわからないので、前述した「生産個数」と「生産品種」が決まった段階でメーカーに問い合わせを行い、比較検討をするようにしましょう。
製パン機を活用した応用例

製パン機を導入することで、人の手ではムラが出るパンも安定した品質で生産することが可能になります。
ここからは、そんな製パン機を活用した応用例を一部紹介します。
米粉パンやグルテンフリーパンの製造
製パン機の精緻なこねる、という機能や温度を制御する機能を用いれば、小麦アレルギー対応の米粉パンやその他のグルテンフリーパンを安定した品質で生産できます。
米粉を主体とする生地は水分保持性が異なり、最適な発酵環境を維持するのが難しいため手作業では仕上がりにムラが出がちです。
製パン機なら、発酵温度や時間を細かく設定できるため、生地の内部から外部まで均一に発酵させることができます。
季節限定商品や地域特産品の開発
製パン機の段階的に発酵する機能や圧力調整機能を活用すれば、季節のフルーツや地元素材を生かした限定パンのレシピ開発と量産がスムーズに行えます。
旬の素材(例:栗、柑橘類、さつまいも等)は水分や糖度が一定ではないため、投入タイミングや発酵条件を微調整しないと生地の品質が安定しません。
これが手作業となると、品質や味にばらつきが出てしまいます。
製パン機では、それらの条件をレシピごとに保存・呼び出しできるので、材料のバラツキを吸収しながら一貫した品質で大量生産が可能です。
製パン機を活用した新商品のアイデア
製パン機の様々な機能を組み合わせることで、クロワッサン風高級生地やフォカッチャ風の水分を多く含んだ生地など、多彩な食感のオリジナル商品開発が可能です。
これにより、手作業では困難な構造や水分バランスを再現し、他社との差別化商品を大量生産できます。
製パン機のメーカーに相談すれば、オリジナル商品を生産するための特別仕様を提供してくれる場合もあります。
製パン機導入時の注意点
製パン機を導入する際は以下の3つの点に注意してください。
- 導入前のチェックポイントと準備事項
- 導入後のメンテナンスとトラブル対応
- メーカーや販売店のサポート体制の比較
導入前のチェックポイントと準備事項
導入前には、設置スペースの確保と電源容量の確認が最優先です。
次に、衛生管理基準を満たすための床・壁材や排水設備のレイアウトを事前に確認しましょう。
また、生産計画に応じた処理能力(斤数/時間)と必要オプション(分割機能や発酵モード)の選定も欠かせません。導入計画段階で担当スタッフへの操作研修スケジュールを組み、習熟度チェックも合わせて行うとスムーズです。
導入後のメンテナンスとトラブル対応
製パン機を長期稼働させるには、定期的なメンテナンス計画と故障時の対応手順が不可欠です。
まず、毎日運転後には必ず機械の電源を切り、完全に冷却してからパン屑や油分を拭き取ることが大切です。
加えて、可動部には定期的に食品安全基準に適合した潤滑油を少量塗布し、摩耗や異音を防ぎます。
これによりトラブル発生のリスクを低減できます。
万一故障が起きた場合は、まず取扱説明書に従った一次対応(リセット操作や部品チェック)を行い、それでも復旧しない場合は専門技術者による緊急修理サービスを速やかに依頼する体制を整えておきましょう。
メーカーや販売店のサポート体制の比較
サポート体制を評価する際は、保証期間と無償修理範囲の有無を確認しましょう。
加えて、緊急時の現地対応スピードや部品在庫状況を問い合わせ、対応可能エリアを把握することも大切です。
メンテナンス契約の有無や年間保守費用を比較し、定期点検が含まれる契約内容を選ぶとコスト予測が立てやすくなります。
多種のデモ機の導入事例を比較し、実際の稼働音や操作性を現場で確認することで、導入後のギャップを防げます。
株式会社コバードが提供している製パンができる機械「マジックハンドシリーズ」

株式会社コバードは、さまざまな菓子パンやピザなどを生産できる機械を提供しています。
弊社が提供しているマジックハンドシリーズは、中に餡を入れるパンの成形・生産を専門とした機械です。
つぶあんパンやメロンパン、クリームパンやベーグル、ピザといった扱いの難しい発酵生地に対しても人の手以上の手包みを実現できます。
マジックハンドシリーズは、小規模な店舗でも設置できる「マジックハンド 1連式 MHS-1」や「マジックハンド 1連式 MH-1」「マジックハンド 1連式 MH-1W」を提供しています。
省スペースで設置できるだけでなく、1時間あたり800〜2000個、1日あたり800〜10,000個以上の生産ができるため、リテールベーカリーでも大量生産を目指せます。
また、大規模工場向けに「マジックハンド2連W式 MH-2W」「マジックハンド 4連W式MH-4W」「マジックハンド 6連W式 MH-6W」など、1時間あたり4,000〜12,000個、1日あたり4,000〜80,000個を超える大量生産ができる機械も用意しております。
お客様の生産環境に合わせた最適な機械をご提案いたしますので、売り上げアップや生産数向上を目指している方はぜひ一度株式会社コバードまでお問い合わせください。
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まとめ
本記事では、製パン機の特徴や製パン機をラインに組み込むメリット、製パン機の選び方や導入する際の注意点について解説しました。
事業者が製パン機を導入するメリットは以下の通りです。
- 自動化による人件費削減と生産性向上
- 高精度な製パン機による品質の安定化
- 原材料の最適化と食品ロスの最小化
主に、製パン機を導入するメリットは「業務の効率化」に加え、品質の向上・安定化にあります。
繁忙期に合わせて大量発注にこたえるための生産環境を整えたい場合や、生産数を増やして売上アップを目指したい事業者は製パン機の導入を検討しましょう。