食品加工機械とは?種類・仕組み・選び方を徹底解説|自動化で進化する最新トレンドも

2025/11/14

「人が足りない」「ベテランが辞めた途端、品質が安定しない」「電気代ばかり上がって利益が残らない」こうした悩みを抱えながら、毎日の生産をなんとか回している食品工場は少なくありません。

一方でいま、食品加工の現場では 「人にしかできない仕事」と「機械に任せる仕事」をきれいに分ける動きが加速しています。

AI・IoT・ロボットを組み合わせることで、単に省人化するだけでなく、歩留まり改善・電力削減・クレーム減少 まで同時に実現する工場が増えてきました。

そこで本記事では、「食品加工機械」の役割や導入のメリットを紹介します。

食品加工機械とは?役割と基本構造を解説

食品加工機械とは、原材料を「混ぜる・成形する・加熱する・包装する」といった一連の製造工程を自動化する装置のことです。各工程を機械が担うことで、人為的ミスの減少、衛生管理の強化、生産ラインのスピードアップを同時に実現できます。

人の手による作業を機械に置き換えることで、製品の品質を均一化しながら生産効率を飛躍的に高める役割を果たします。

近年では人手不足の解消やHACCP対応、異物混入防止などの観点から導入が急速に進んでおり、食品工場の競争力強化には欠かせない存在となっています。

各工程を機械が担うことで、人為的ミスの減少、衛生管理の強化、生産ラインのスピードアップを同時に実現できます。

食品加工機械の定義と導入目的

食品加工機械とは、食品原料を一定の形・状態に加工するための機械装置を指します。

原材料を混ぜ合わせ、一定の形状に成形し、加熱・焼成・包装するまでの作業を自動化することで、手作業に比べて大幅なスピードアップを実現します。手作業で1時間に500個しか作れなかった饅頭も、包あん機を導入すれば同じ時間で数千個の製造が可能です。

また、機械制御によって製品の大きさや重さを均一に保てるため、品質管理面でも優れているため、「人の技術に依存しない安定した生産ラインの構築」を目的として現在多くの企業で導入が進められています。

食品加工機械の基本構造と主要工程

食品加工機械は大きく分けて「投入→混合→成形→加熱→包装→検査」という流れで構成されています。各工程が連動して動作することで、材料投入から最終製品の完成までをシームレスに自動化します。

工程主な機能使用される代表的機械
投入・混合材料の分量調整・均一混合ミキサー・ホッパー
成形・充填生地・餡を一定形状に整形包あん機・充填機
加熱・焼成温度・時間の自動制御オーブン・フライヤー
包装・検査異物検知・密封包装包装機・金属検出機

このように、食品加工機械は単体でも利用できますが、ライン化することでより高い効率と一貫性を実現します。

結果として、大量生産・高品質・高衛生の三拍子を兼ね備えた食品づくりが可能になるのです。

食品加工機械の主な種類

食品加工機械の一つである包あん機で作る商品のイメージ

食品加工機械は、製品の形状や特性によって必要な工程や機構が大きく異なります。例えば、生地を包む機械とスープを充填する機械では、求められる圧力や精度が全く違います。

そのため、加工内容に合わせて適切な機種を選定することが生産効率向上の鍵となります。主な分類としては以下の通りです。

  • 成形機
  • カッター・スライサー機
  • 加熱・焼成機
  • 包装・検査機械

これらを組み合わせることで、素材の投入から最終包装までを一貫して自動化できます。

成形機(包あん機・充填機)

成形機は、饅頭・大福・パンなどの生地と餡を包み込む工程を自動化する機械です。包あん機は生地の厚みや餡の量を正確にコントロールし、1個あたりの重量を均一化できます。

人手で行う場合と比べてスピードが格段に速く、1時間あたり数千個の製造が可能です。近年ではクリーム・チーズ・具材など粘度の高い素材にも対応した多機能型が登場しており、和菓子から洋菓子・惣菜まで幅広く応用できます。

充填機では、プリンやソース、飲料などの液状食品を正確に分注する機能も搭載され、「高速・高精度・衛生的」な成形を実現しています。

カッター・スライサー機

洋菓子やパンの製造現場では、生地の柔らかさを保ちながら整った断面を得ることが求められます。そこで注目されているのがカッター・スライサー機です。

カッター・スライサー機は、パン・ケーキ・チーズ・肉などを一定の厚さで正確にカットする装置で、製品の断面を均一に保ち、見た目の美しさと歩留まりの良さが向上します。

超音波カッターは、高周波振動により刃が素材を「押し切る」のではなく「振動で分ける」ため、チーズケーキやロールケーキなどの柔らかい食品でもつぶれにくく、断面がきれいに仕上がります。

超音波カッターについては、以下の記事でも解説しています。

加熱・焼成機(オーブン・フライヤーなど)

加熱・焼成機は、食品の風味・食感・色合いを決定づける重要な工程を担います。温度や湿度を自動制御することで、焼きムラのない均一な品質を実現できます。

たとえばパン工場では、複数段のベルトコンベアを備えたトンネルオーブンを採用し、1時間に数千本のパンを安定生産しています。

フライヤーは油温を一定に保つ温度センサーや自動ろ過機構があり、焦げや酸化を防止できます。これらは省エネ化や油コスト削減にもつながっています。

近年はHACCP対応を目的に、外気に触れにくい密閉型オーブンや自動洗浄機構付きフライヤーも増加しています。

包装・検査機械

包装・検査機械は、最終製品を安全かつ効率的に出荷するための仕上げ工程を担います。自動包装機では袋詰め・密封・ラベリングを一貫して行い、異物混入を防ぎながら外観品質を整えます。

さらに、金属検出機やX線検査機などを組み合わせることで、HACCP(食品安全管理)基準に対応した高精度検査ラインを構築できます。

例えば、クッキーの包装ラインでは、破損品や欠けた製品を画像認識で自動検出し、不良品を除外する仕組みが一般化しています。これにより、人による目視検査よりも精度が高まり、生産スピードも大幅に向上します。

包装・検査機械の導入は「消費者の安心」と「メーカーの信頼性」を両立させる重要なステップとなります。

食品加工機械の導入メリット

食品加工機械を取り扱う人のイメージ

食品加工機械の導入によって得られるメリットは、以下の通りです。

  • 省人化・人手不足の解消につながる
  • 製品品質の均一化と衛生向上
  • ムダを減らして利益を最大化する

省人化・人手不足の解消につながる

食品加工機械の最大の導入メリットは、人手不足の解消と省人化です。

従来、熟練職人が担っていた「生地の包あん」や「焼き加減の調整」などの作業を自動化することで、経験に依存せず安定した品質を保てます。

特に近年は労働人口の減少や人件費の高騰が課題となっており、少人数で効率的に生産できる体制が求められています。

稼働時間の延長や夜間運転も可能となるため、納期短縮や大量受注への対応力も高まります。

省人化は単なる人手削減ではなく、「生産体制の強化」と「働き方改革」の両立を実現する手段といえるでしょう。

製品品質の均一化と衛生向上

機械制御による生産は、製品品質のばらつきを減らし、衛生面でも高い水準を保てることが大きな利点です。

手作業では作業者の熟練度や体調により製品のサイズ・形状にばらつきが生じますが、機械はプログラム設定により常に一定の条件で生産可能です。これにより、消費者に安定した品質を提供できます。

また、食品安全管理の国際基準であるHACCP対応ラインの構築にも機械化は欠かせません。
非接触搬送・自動洗浄機構などを備えた最新機種では、衛生リスクを最小限に抑えることができます。

例えば、コバード社のライン設備では、搬送工程を完全密閉構造にすることで、外気や人の手が製品に触れないよう設計されています。
品質と衛生の両立は「顧客満足度の維持」だけでなく、「企業ブランドの信頼性向上」にもつながります。

ムダを減らして利益を最大化する

食品加工機械を導入することで、生産効率の向上とコスト削減による利益最大化が可能になります。機械化によって製造スピードが上がるだけでなく、原材料ロスの削減や歩留まりの改善にも直結します。

稼働データを記録・分析できるシステムを導入すれば、エネルギー使用量やメンテナンス周期を可視化でき、無駄な稼働時間を減らすことも可能です。

特に食品業界では利益率が低いため、わずかな効率化でも年間コスト削減額は大きく、「1ラインあたり年間数百万円規模のコスト改善」につながることも珍しくありません。

つまり、食品加工機械は単なる作業支援ツールではなく、経営の収益構造を変える投資資産としての価値を持っています。

食品加工機械の選び方|導入前に確認すべきポイント

食品加工機械の紹介

食品加工機械の導入で失敗しないためには、「製品特性」「運用コスト」「アフターサポート」の3点を見極めることが重要です。

機械は一度導入すると長期間使用するため、初期費用だけでなくメンテナンス性やサポート体制を総合的に比較する必要があります。

以下で、それぞれの判断基準を解説します。

製品の種類・生産量・粘度に合った機械かどうか

食品加工機械は、扱う素材の粘度・固さ・粒感によって適したタイプが異なります。

たとえば柔らかい餡やクリームには押出式の包あん機が向きますが、具材が多い惣菜系ではロータリー式やピストン式が好まれます。

また、生産量に対してオーバースペックな機械を選ぶと、初期投資が無駄になり、逆に小型すぎると納期対応が難しくなります。

導入前には、「1時間あたりの目標生産量」「使用する原料の特性」「最終製品の形状」を明確にしておくことが不可欠です。

メーカーによるテスト運転(トライアル)を行い、実際の仕上がりを確認してから決定するのが理想です。

メンテナンス性・部品交換の容易さ

機械は導入して終わりではなく、日々の清掃と定期メンテナンスが必要です。特に食品工場では、衛生管理の観点から分解清掃のしやすさが重要になります。

ステンレス製で工具を使わずに分解できる設計であれば、洗浄時間を短縮しつつ清潔な状態を維持できます。

また、部品の摩耗やパッキン劣化による故障リスクもあるため、交換部品が国内在庫にあるかどうかも確認が必要です。

「ランニングコスト」=維持管理コストを把握しておくことで、長期的な費用を最適化できます。

導入後のアフターサポート体制

食品加工機械は長期運用を前提とするため、メーカーのサポート品質が導入後の安心感を左右します。

トラブル発生時に迅速な修理対応が可能か、またオンラインでの稼働監視・リモート診断が行えるかどうかもポイントです。

たとえば、株式会社コバードでは全国の営業拠点と技術スタッフによる定期点検・遠隔サポート体制を整備しており、導入後も安心して運用を継続できます。

導入時には、購入価格だけでなく「サポート品質」も含めたトータルコストで比較検討しましょう。

食品加工の最新トレンド|食品加工機械の自動化とDX

食品加工機械を設置する工場のイメージ

近年の食品加工業界では、AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)・ロボティクスの導入により、生産の自動化とデジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進んでいます。

これにより人の感覚に頼っていた焼き加減や品質検査、材料の投入管理までもが機械制御によって最適化され、「止まらない工場」「考える工場」へと変化しつつあります。

以下では、AI制御・ロボット技術・データ連携の3つの観点から最新動向を解説します。

AI制御による製品判別・品質検査

AI制御は、食品加工における品質管理を大きく変えつつあります。従来、人が目視で行っていた「焼き色」「形状」「焦げ」などの検査工程を、画像認識AIがリアルタイムで自動判定できるようになりました
これにより、人手による見落としや主観的な判断を排除し、安定した品質保証が可能です。

たとえば、焼き菓子のラインではカメラで撮影した製品画像をAIが解析し、「焼きムラ」「欠け」「変形」を自動的に分類。正常品のみを包装工程に流すシステムが実用化されています。

さらに、AIが過去のデータを学習することで、焼成温度や時間を自動で微調整し、常に最適な状態で生産を続けられるようになります。このようなAI制御の導入は、品質検査の精度を高めるだけでなく、廃棄ロス削減や生産効率の向上にも直結しています。

ロボットアームによるハンドリング技術

次に注目されるのが、ロボットアームを活用したハンドリング技術の進化です。従来の産業用ロボットは金属部品などの硬い素材を扱うことが主流でしたが、近年では食品のような柔らかく壊れやすい製品でも、潰さずに掴んで搬送できる「ソフトグリップ技術」が発展しています。

コバードの「ロボセブン」シリーズは、柔軟素材のハンド部と高精度センサー制御を組み合わせた“ゼロプレッシャー搬送を実現。和菓子やパンのようなデリケートな製品でも、手で持つように優しく扱うことができます。

また、搬送・整列・箱詰めなどの一連の動作を自動化できるため、ライン全体の省力化にもつながります。

こうしたロボットアームの導入は、作業者の負担軽減だけでなく、異物混入防止・衛生環境の改善という効果ももたらしています。まさに「人とロボットが協働する食品工場」の実現が現実のものとなりつつあるのです。

データ連携による生産ライン最適化

DX化の要となるのが、IoTによるデータ連携と生産ラインの最適化です。

各機械に取り付けたセンサーが温度・湿度・回転数・稼働率などの情報を常時収集し、クラウド上で一元管理する仕組みが広がっています。

これにより、工場全体の「どの工程で遅れが発生しているか」「どの機械に異常があるか」を即座に可視化できます。

たとえば、焼成ラインの温度履歴やカッターの刃圧データを自動記録することで、歩留まり率(製品の良品率)を継続的に改善できるようになります。

また、蓄積データをAIが分析することで、メンテナンスの最適時期を予測し、突発的な故障を防ぐ「予知保全」も可能です。

このようにデータ連携は、単なる管理効率化にとどまらず、生産コスト削減・安定稼働・品質向上を同時に実現するDXの中核技術といえます。

食品加工機械メーカーの株式会社コバードの強み

食品加工機械メーカーの中でも、株式会社コバードは技術力と柔軟な対応力に強みを持つ企業です。近年では、ロボットハンドの技術も積極的に取り入れており、食品DXを推進するパートナーとして注目されています。

包あん機や超音波カッターなど、多様な食品に対応する機械を開発し、中小規模の食品工場に最適な省スペース・高効率ラインを得意としています。

また、機械販売だけでなく、製品テスト・メンテナンス・カスタマイズ開発まで一貫対応できる点が特徴です。現場の課題を丁寧にヒアリングし、最適な機種構成を提案させていただきます。

「現場理解」「技術力」「アフターサポート」を兼ね備えた点こそが、コバードの大きな強みです。

食品加工機械に関するよくある質問(FAQ)

最後に、検索ボリュームの高い関連キーワードをもとに、導入前によく寄せられる質問をまとめました。

中古食品加工機械の購入はおすすめ?

中古機械は初期費用を抑えられる一方で、耐用年数・メンテナンス履歴・保証内容を慎重に確認する必要があります。

食品機械は稼働時間や使用環境によって内部摩耗の進行度が大きく異なり、見た目だけでは判断できません。

特に、充填ポンプやシールユニットなどの部品は劣化しやすいため、部品交換済み・整備済み保証付きの中古機を選ぶのが安心です。

また、最新のHACCP基準や安全規格に適合していない機械もあるため、導入前にメーカーまたは販売店に確認することが重要です。

初期費用の安さだけでなく、「将来の修理コスト」まで含めた総コストで判断しましょう。

食品加工機械の展示会はどこで見られる?

最新の食品加工機械を実際に見て体験できる場として、「FOOMA JAPAN(国際食品工業展)」が代表的です。この展示会では、国内外の主要メーカーが一堂に集まり、包あん機・スライサー・包装機などの最新モデルを実演します。
来場者は実際の製造スピードや成形精度を確認できるため、導入を検討する企業にとって貴重な情報源となります。

また、株式会社コバードも各地で自社実演会を開催しており、製品テストや試作相談を直接受け付けています。
展示会や実演会に足を運ぶことで、「自社の製品に本当に合う機械」を見極めることができるでしょう。

コバードでは、年間多数の食品イベントに出展しています。
イベント出展のイメージは以下の記事を参考にしてください。

まとめ|食品加工の未来を変えるコバードの技術

食品加工機械は、単なる「効率化装置」ではなく、品質・衛生・生産性を同時に高める「次世代の製造基盤」です。AI制御・ロボット搬送・IoTデータ管理といった技術が融合し、食品工場の在り方は今まさに進化の最前線を迎えています。

その中で、株式会社コバードは、現場に寄り添った設計と最新技術の融合により、「安心・高品質・高効率」な食品づくりを支えるパートナーとして存在感を高めています。

これからの食品加工は、機械と人が共に進化する時代。コバードの技術は、その未来を切り拓く力となるでしょう。